しちさん21 (hatena)

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【アニメ感想】『ワッチャプリマジ!』第24話「行くぞエキシビション!5人のマジ」

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 1クールかけてついに5人センターへとたどり着いたまつりたち。これでめでたしめでたしかと思いきや……それでは終わらせないぞ、という意思を改めて感じる回でした。

#24 『行くぞエキシビション!5人のマジ』

脚本:広田光毅、絵コンテ:江副仁美/小林浩輔/小松達彦、演出:児玉和子

 1クールかけてバラバラな5人がまとまるまでを描いた合宿編。その総決算として披露されたのが前回の新曲「ワッチャ!プリーズ!マジック!」でした。これをもって作品としても(あえて他シリーズに寄せるなら)"み~んなトモダチ!"路線にまとまりそうな勢いでしたが、そこに冷や水をかけるように「個人個人の熾烈な争い」というテーマを再度強調してきた、というのが今回の印象です。その見せ方もいろいろでしたが、まずはやはり阿智彦社長。運営の立場からプリマジスタたちの競争を積極的に見せたがる彼は、5人センターにすっかりおかんむりでした。「視聴者は仲良しごっこを見たいわけではない」といった考えを語る阿智彦の様子にはハッとさせられるところもありましたね。トップを目指す少女たちが競い合い、勝者と敗者が生まれることを観客の視点からドラマとして楽しむ(消費する)ことは、やはり一定の醜さをはらんだ楽しみ方だよなと自覚させられます。ですが、これは作品としては現状悪役に近いポジションにいる阿智彦の主張。だからこそ、最終的な結論に対してはアンチテーゼとなることでしょう。競争を求める心理を踏まえてみんなで協力路線の魅力を描くのか、はたまた競争をするにしてももっと純然たるものとして描くのかわかりませんが、こうして競争を煽る醜さを見せてきたからにはそれを上回る魅力に着地してくれるのだろうと期待しておきます。
 一方のプリマジスタ側からも、今の5人プリマジは決して最終的な到達点ではないのだ、ということが再確認されました。特に、ジェニファーを超えるんだという意識が強いひな先輩は「(みんなでのプリマジは)アタシの目指すものではない」と明言。大人の都合に関わらず、本人たちの意識においても競い合いの姿勢を大事にしたがっているんだよ、というのを改めて描写した感じですね。年間の構成を考えれば、今はまだ折り返し地点。それこそプリティーリズムがそうだったように、最終的には個人レベルでのぶつかり合いになっていくことでしょう。盛り上がりの山をひとつを乗り越えたタイミングですが、今後の布石をしっかりと置いておく良い展開だったと思います。

 とはいえ、今回は溜めに溜めたエキシビションの当日でもあります。Bパートからステージシーンにかけては「みんなでのプリマジ」が描かれました。会場でのファンとの交流シーンでは、5話に登場したカメラマンさん(宇津嶋さん)が再登場したのが地味に嬉しかったです。そういう方針と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、やはりプリマジはメイン以外のネームドキャラの薄さが弱点かなと思っているので……。差し込めそうなタイミングがあれば積極的にこうしたサブキャラも出してほしいですね。ぬるぽん氏たちにも久しぶりに会いたいし。
 また、にゃんじいの言葉からは「最近のプリマジは変わった」「まつりたち5人のプリマジこそ本来のプリマジ」というようなことも読み取れました。恐らくは、御芽河の参入前後でプリマジのあり方も変わっているということなんでしょうね。大人の悪意で歪められたエンターテインメントを子供の手で取り戻す……とまで言ってしまうとちょっとあざとさも出てしまいますが、終盤はそんな展開になるのかも?と予想もしたくなる回でした。

 長かった合宿編(という言い回しも何度も使ってしまった気がしますが)もついに終了。バラバラな5人が互いを知り、高みを目指すための本音をぶつけ合うようになるまでの期間としては必要な展開だったとは思いますが、やはり1クールにわたってワンシチュエーションに閉じ込めるのは退屈さが勝るな……というのは正直な感想でした。もちろん魔法界でのエピソードを挟んだりと工夫は感じたのですが、その反面で合宿を振り返るくだりも何度も挿入されてしまったり、そういうところは惜しかったなと思います。次回は実質的に新キャラとなるあうるが本格参戦のようですし、ここから心機一転、いろんなパターンの導入でエピソードを積み重ねていって欲しいですね。もちろん、合宿を経て変わった関係性がどう活きてくるのかも見どころ。後半戦のスタート、楽しみにしています!