しちさん21 (hatena)

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【アニメ感想・ネタバレ含】『Wake Up,Girls! 続・劇場版 前篇 [青春の影]』

原案・監督を「かんなぎ」などの山本寛、シリーズ構成・脚本を「THE IDOLM@STER」などの待田堂子、音楽を「<物語>シリーズ」などの神前 暁を中心としたクリエイター集団MONACAがそれぞれ担当し制作されたオリジナルアニメ、『Wake Up,Girls!』。劇場版、テレビシリーズに続き、再び2部作の劇場版として上映された続編の前篇を見てきたので、ネタバレ回避も考えてブログの方に軽く感想を。

[予告]


ちなみに、まずシンプルに良かったか悪かったかを言うなら、良かったです。その証拠として、今僕の手元にはシアター限定盤BDがあります。サントラが(確実に)付いてくるってのもあるけどね!

良かったところ①:WUGメンバーの成長
今作の見所はやはりこれでしょう。TVシリーズを経て、みんな逞しくなったのがよくわかりました。
中でもいちばん成長を感じたのが藍里。bvexでのダンスレッスンではまずクラス分けが行われ、藍里は1人いちばん下のCクラスで小中学生くらいの子供たちと一緒にレッスンを受けることになりました。その後ホテルの部屋でメンバーが集まってミーティングをするシーンでそれぞれが自分のクラスの様子を話していくとき、なかなか藍里のターンが回ってこないので「これ藍里曇りだすんじゃ……」とやや心配になりました。しかしそんなことは無く、藍里さんはきちんと現状を打ち明け、頑張ってみんなに追いつくからと決意を口にしました。藍里はTVシリーズで早坂さんからクビ宣告を受けた際は黙って練習を欠席し、さらには脱退も考えていただけに、藍里の成長と、さらにはWUGメンバー同士の信頼度が上がっていることが感じられるいいシーンだったと思います。
他のメンバーもパンフのキャストインタビューでそれぞれ自分の演じるキャラについて答えていたように、I-1時代を受け入れて、東京を思い出の場所と言い切れるようになったまゆしぃやリーダーとして自然に振る舞えるようになったよっぴーなど成長しているところを見せてくれました。
そうそう、よっぴーはショートカットにしてビジュアルから大きく変わりました。髪を切った理由は本編内では語られませんでしたが(パンフで監督が少し触れてた)、個人的にはナイスな采配だったと思います。初見でまゆしぃと見分けづらいのが改善されたのもそうですけど、よっぴーはアイドルの祭典で怪我した時の絶望顏を筆頭に何かとネガティヴなイメージがあったので重苦しかった髪を切ってさっぱりした印象になったなあと。演じる青山さんとのリンクもあって丸い性格になったというか、いい感じにポンコツ感が増しているのも可愛かったです。

良かったところ②:協力してくれる大人たち
Wake Up,Girls!という作品は、特に『七人のアイドル』からTVシリーズ序盤にかけて「汚い大人たちにいたいけな少女たちが振り回される作品」という印象はどうしてもありました。『七人のアイドル』ではまず社長が金を持ち逃げするし(これ結局有耶無耶だけど後篇以降に回収されるんだろうか)、TVシリーズでも松田は悪い奴じゃないけどびっくりするほど無能だし、フリーザ様は汚れ仕事やらせるし、思い返しても酷いものでした。
ですが(というか「だからこそ」?)、今回味方になってくれる大人が多いことに涙を禁じ得ません。特に仙台のTV局の人たちが「東京で勝負して来なよ」と応援して送り出してくれたときは本当に泣きそうになりました。松田も有能になったわけではないけれどWUGのために一生懸命に動こうという気持ちは伝わってきたし、実際にその情熱は早坂さんを動かす一因になったんじゃないかと思います。早坂さんはTVシリーズでも貴重な頼れる大人でしたが、今回も相変わらずツンデレ拗らせたイケメンっぷりを発揮してくれました。むすび丸未だに持ってるの露骨だけど最高だし、「おいそこの地下アイドル」からの流れは主人公かと見紛うレベルでした。

良かったところ③:白木の語るI-1の理念
見る前は予想もしてませんでしたが、思わぬ人物の株が爆上げでした。「休まない!愚痴らない!考えない!いつも感謝!」でお馴染み白木さん。
大人気アイドルI-1 clubを取り仕切る非情な男ではあるけれど、TVシリーズ最終回では「アイドルの祭典」にてそのアイドル論を語るなど完全な悪役としては描かれていなかった白木さんですが、今回はI-1のCD売上がミリオン割れしたことに対してこんな発言がありました。
不況?I-1clubがそんな世俗の波に飲まれて構わないと言うのかね?辛い現実にぶつかり夢を見失ってしまった現代の日本人が代わりに自分の夢を託す、そんな唯一無二の存在がI-1clubでは無かったのかね?I-1の不振とは、すなわち日本が希望を失うとき!
……いやあこれは惚れますよ。他作品を出してしまいますが、僕はプリティーリズム・ディアマイフューチャーという作品が大好きで、その主人公である上葉みあ師匠の「私たちはプリズムスタァだ!みんなが進む道は明るいって、未来は美しく輝いてるって、私たちが言わなきゃ誰が言うんだ!」という台詞が大好きなんですね。このシーンの白木からはこれに近いものを感じました。ほっとくとDMF語りを始めそうなのであまり掘り下げませんがこの台詞には本当に感銘を受けたので、WUGにおいても「アイドルは夢を見せなければならない」という考えに触れられて良かったです。

良かったところ④:楽曲
公開に先立ち主題歌シングルはリリースされていたわけですが、その時点でこのシングルすげえクオリティ高いなオイ!という感想でした。主題歌「少女交響曲」はサビもさることながらマイナー調のAメロBメロが恐ろしくかっこよく、タチアガレ!に近い空気もあってまさに主題歌に相応しい楽曲だなと。劇場版を見るとまさに「反撃」のために用意された曲で、ストーリー的にもバッチリハマってるのが素晴らしいですね。あとは、パンフの田中秀和(MONACA)インタビューでの「早坂のみならず僕自身から『WUG!』という作品への愛情表現として、全身全霊で作った楽曲」というコメントが印象深いですね。
そしてc/wに収録されている「素顔でKISS ME」。あの扱いは納得いかねえよ!!と叫びたくなるくらいボロカスに言われてて笑いました。ななみん(久海)にまでdisられる始末。ななみん(山下)は広川アレンジでの変化にいちばんいいリアクションをしてたって話を聞いてたからなおのこと笑いました。これすごく好きなのでデモ聴いて不満そうにしてるシーンとか違和感しかないんですよね(笑)
それと、直接楽曲の話ではないんですが、
b-sessionの時の客席の盛り上がりが劇場の音響もあってすごい迫力だったので、後篇であれを味方につけられたら……と考えると楽しみですね。まあどういう展開になるかわかりませんが。

歌モノだけでなく、劇伴も良い。新録分だと冒頭東京から仙台へ帰るシーンで使われたアコースティックな曲「余熱」や、予告でも使われている「夢幻の楼閣」あたりがお気に入り。さらに言うと恥ずかしながらWake Up,Best!もこれまで買ってなかったんですが、映画で熱が高まってこないだようやく買ってきました。練習の点描シーンでよく使われていて、今回の映画にもあった「助走」がすっごく好きですね。

最後に
そんな訳で劇WUG2前篇、とても面白かったです。とはいえ、今回はあくまで前篇。ストーリー自体は起承転結の承あたりで止まってる感じです。
後篇はななみんにスポットライトが当たるらしいとか、若い頃の白木が出てくるとか気になる情報もたくさん!その辺にも注目して、僕も後篇の前にはちゃんとTVシリーズから前篇まで見返したいなと思います!後篇を楽しみに待ってます!