しちさん21 (hatena)

アニメや特撮系を中心に、楽曲・映画・イベントなどの感想を書きます。

テキストマイニングツールでミルキィホームズの歌詞を分析してみた

前文
 みなさまはじめまして。さんしち ( @sanshichi21 )と申します。『ふたりはミルキィホームズ』を入口にし、『探偵歌劇 ミルキィホームズTD』でハマってシリーズを遡った系ミルキアンです。よろしくお願いします。
 なぜこんな自己紹介を挟んだかといえば、本記事がミルキィホームズ Advent Calendar 2018の7日目の記事であるためです。ザックリいうと、ひとつのテーマに沿って12月の1日からクリスマス25日までの期間毎日何かしらの話をするという企画ですね。まだ執筆者欄には余裕があるようなので、興味のある方は今からでもぜひ。

概要
 さて、なんの記事を書こうかなと考えたときに、少し前に某有名プリキュアブログが『プリパラ』の歌詞をテキストマイニングで分析していた記事が話題になったのを思い出しました。
プリパラは3年9か月、何を歌ってきたのか?~テキストマイニングによる分析~ - プリキュアの数字ブログ

 調べたところ、この記事のほかにジャニーズファン界隈などでも流行があったようなのですが、ミルキィホームズでやっている記事は見当たらなかったため、こちらにチャレンジしてみようと思います。見よう見まねなので拙い分析になるかとは思いますが、話題のタネにでもしていただければ幸いです。

というわけで、分析は以下に。

【準備】

〇手法・ソフトウェア

 今回の調査は先のブログを参考に、「Lyrics Master」を用いて歌詞のテキストを取得し、結合したファイルをもとに「KH coder」というソフトでテキスト分析を行いました。歌詞取得の手法についてはこちらも『プリキュアの数字ブログ』様の記事を、テキスト分析についてはソフトウェアDLページのチュートリアルをそれぞれ参考にしています。

〇対象楽曲・歌詞ソース
 調査の対象とした楽曲は、雨上がりのミライ『そして、群青にとけていく』までに発売されたミルキィホームズシリーズ関連楽曲101曲(自己カウントです。おそらく抜けはないですが数合わなくない?という意見があったらお伝えください。)のうち、歌詞変化のない雨上がりのミライ (Alternative mix)』『熱風海陸ブシロード~熱き咆哮~(Hyper Euro Version)』『鼓動の彼方~劇場ver~』、そして歌詞サイトに情報の無い『Answer』を除いた97曲。"シリーズ関連楽曲"なので、各種キャラクターソングや飛蘭さん(2曲)、麻生夏子さん、SV TRIBE、新田恵海さん、米倉千尋さん、NICOさん(各1曲)の主題歌/挿入歌も含みます。
 歌詞検索に用いたサイトは歌詞GETうたまっぷ歌ネットの3サイト。基本的に「被りのあるものは左側に書いたサイトを優先」という形ですが、『激情! ミルキィ大作戦』のみうたまっぷ版に明らかな抜け落ちがあったため歌ネット版を利用。また、一部文字化けしたところなどは手入力で修正しています。わりと統一感のないソースですが、あくまで軽い調査ということでご容赦いただければと思います。


【抽出結果と分析】

①頻出語句
 まずはシンプルに、頻出語句を見てみましょう。意味の通らない単語(「ょ」「K」など)を省きつつ抽出した上位150語がこちら。

頻出語150


 色がついてるのは別に分析機能とかではなくて、私がザっと眺めてみて気になったポイントにチェックしてあるだけです。まずは朱っぽく色付けした単語(ミルキィ」「ヨコハマ」「トイズなど)ですが、この辺は「作品由来の単語」かなと。まあヨコハマは地名ですが……。ちなみに、ブシ」「ロード」は完全に熱風海陸のせいですね。一方、青く色付けしたのは探偵にまつわるキーワード。2色合わせて、「大探偵時代」「偵都ヨコハマ」「トイズ」という作品独自の世界観や「ミルキィ」といった固有名詞を惜しげもなくバンバン投入してくるのはミルキィ特有の方針といえるのではないでしょうか。「私たちはアイドルじゃなくて探偵ですから!」という台詞にもうなずけます。
 余談ですが、「警察」は2回、「怪盗」は6回と意外な少なさでした。

 続いて、黄色で色付けした語句。これらに関しては純粋に眺めてて気になったやつですね。まずは笑顔」「笑う」「泣くの位置関係。前者2語が計70回、後者2語が計37回とダブルスコアには若干届きませんが大きく差をつけており、笑顔溢れるユニット/コンテンツというミルキィホームズの印象がデータにもよく表れていると思います。は苦手 泣いたりしない」という歌詞がまさにそうですが、後者2語については「泣かない」「泣いたり笑ったり」というような文脈で使われることも多いようでした。

 次は。これについては、近辺に出現する動詞をチェックすることでどうなるか?という統計をやってみたかったものです。というわけで早速その結果を見ると……

手_コロケーション統計

こんな感じになりました。「つなぐ/繋ぐ」が圧倒的に多いですね。『バイバイエール!』などの影響か「振る」も上位にありますが、その他の語句には「触れる」「とる」「にぎる」といったものが並んでいますし、ミルキィホームズにとって「手」は「つなぐ」ものだと捉えて問題ないかと思います。ファイナルライブのキービジュアルもですが、ミルキィホームズが手をつないでいる姿はユニットアニメ問わず印象深いので、歌詞にもこうして表れているのはなかなか面白いなと思いました。

 最後にについても。これに関しては統計的にどうこうというよりは使い方の話です。あまり意識していませんでしたが、言われてみれば確かに頻出な気がするこのワード。改めてチェックすると「素直には追いかけてゆく」「感謝の気持ちでを見てた」『聞こえなくてもありがとう』)、「いちばん光ってる 追いかけていこう」『プロローグは明日色』)、「次のをつかまえよう」『羽ばたいてDreamin'』)など。「追いかける」「つかまえる」といったフレーズが印象的ですが、これを逆手にとった?曲がひとつありました。そう、

も追いつけないフルスピードの青春なんだ」
(『毎日くらいまっくす☆』)

です。これまでは追いかけていた「」を追い越し、追いつけないほどに加速したミルキィホームズ……と考えると感慨深いものがありますね。


②カテゴリ分類
 ここからは、楽曲をカテゴリごとに分けて見てみます。まずは、ランティスレーベル(『ミラクル×パニック♡エンドレス』以前)と響ミュージック/ブシロードミュージックユメユメエキスプレス以降)の比較。それぞれでの特徴的な語を抽出した結果がこちら。

レーベル特徴語


 ランティス時代は先ほど挙げた中だと「探偵」関係のワードが、響移籍後は「ミルキィ」が目立ちます。作品のカラーを全面に押し出していたランティス時代と、キャリアも長くなりユニットの要素も強くなって「ミルキィホームズ」という存在がより強固になった移籍後、というイメージですかね。


 続いて、アーティストごとの比較。こちらは次のパターンに分類しました。

「シスターズ」
ミルキィホームズまたはミルキィホームズ シスターズ名義の楽曲

「キャラソン(非シスターズ)」
:シスターズ6人が不参加のキャラソン楽曲 (例:ココロノエデン、奇跡の歌)

「アーティスト」
:アーティストタイアップ楽曲 (例:ヨコハマを歩こう、探求Dreaming)

「シャロ」「ネロ」「エリー」「コーデリア」「フェザーズ」
:各ソロ/フェザーズ名義の曲

「デュオ」
:上記に当てはまらないデュエット曲(例:ふたりはトモダチ、ライバル捜査線☆)

この分類で特徴語抽出を行った結果が下の画像。

アーティスト特徴語

 各ソロ曲などは母数が少なくなるので1曲の詞が及ぼす影響が大きいということもありますが、キャラソンらしく個性の出た結果になっているんじゃないかと思います。分かりやすいのはネロで、DADADA」「NEROROなど反復のフレーズが多いですね。ちなみにネロのトップにあるOh!なんですが、ほとんど『ドリーム脳内T.K.O.!!!!』『SU☆PAPA☆スター』で荒稼ぎして全体トップに食い込んでくる困ったワードだったり(笑)。
 コーデリア乙女」「もイメージに一致していると思います。エルキュールは露骨に『I DO MY BEST!!』の影響が見えますが、変わるというフレーズには内気な彼女の性格が感じられますね。
 個人的に面白いなと思ったのはシャロで、トイズというフレーズがトップに来ています。シャーロックとトイズといえば主にゲーム版における「コンプレックスを感じている」面が浮かびますが、そんな彼女だからこそ「トイズ」という「素敵な能力」に対する想いがひときわ強いのかもしれませんね。


 最後に、作詞家ごとの比較。今回はこだまさおりさん、畑亜貴さん、RUCCAさん、「南野Emily」さん、中山真斗さん、「その他の方々」という形で分けさせていただきました。

こちらの特徴語抽出は以下の通り。

作詞家特徴語

 分析の前に今回の調査にあたって再確認したことなのですが、思った以上に大半がこだまさおりさんによる作詞なんだなと実感しました。全体の6割程度がこだまさんで、残りを10人以上で分け合うという形だったので、他の方々は母数はやや少なめ。というわけで、南野さん中山さんあたりは担当楽曲の影響が露骨に出ている結果だったかなと感じます。なので今回はこだまさん、RUCCAさん、畑さんに注目して見ていこうかと。
 まずはこだまさんですが、やはり大半を担当されているだけあって全体の頻出後との共通点が多いですね。探偵」「笑顔」「ミルキィといったワードが多く登場しています。一方の畑さんは、追いかける」「挑戦というような力強さを感じるワードが目立ちます。『探求Dreaming』『正解はひとつ!じゃない!!などの影響かと思いますが、こうしてみるとメインストリームとは若干異なるエッセンスを投入されているようにも見えて面白いですね。
 そしてRUCCAさん。やはり真っ先に目を引くのはというフレーズですね。TD挿入歌を一手に引き受けられていたRUCCAさんなので、TDのテーマたる「歌」が出てくるのは実に納得度の高い結果だと思います。

【終わりに】
 というわけで、ソフトをいじりながら気になったポイントをいくつかピックアップしてみました。作風に絡めたキーワードが多いのは体感でも感じていたので、データでもそういった結果が現れるのは予想通り、というかある意味では当然みたいなところもあるのですが、「手をつなぐ」の話だったりシャロとトイズの件だったり、ただ聴いているだけでは見えてこない部分にも発見があってなかなか楽しかったです。
 本格的にやりだすとテキストマイニングという意味では学問レベルまで発展できそうなのでキリがないですが(笑)、まだまだ分析の余地があるなというのは自分でもひしひしと感じていますので、もし我こそは!という方がいらっしゃいましたらもっと深掘りしてみるのも面白いと思います。

~おまけ~

 と、こんな感じで〆ようと思ってからまたいい感じのデータが見つかったので、最後にそれを。頻出語を品詞別に分類したとき、動詞のトップになったのは「行く」「待つ」という2単語でした。

頻出動詞

 対照的な2語だなあというのが気になって文脈を調べてみたところ、「行く」のはミルキィホームズで、「待つ」のは「世界」や「事件」が多いんですね。つまり、「何かが待っている世界に全力で向かっていく」のがミルキィホームズということなのかなと。ライブMCをはじめ「行ってらっしゃい」というのはミルキィホームズのキーワードだと感じているので、そういった雰囲気が歌詞にも表れているのかなと思います。

 だからこそ、来る1月28日には、「さよなら」ではなく「いってらっしゃい!」と思えるように心の準備をしておきたいと思っています。ミルキアンと、ミルキィさんたちのこれからに素敵なミライが待っていますように。

 それでは、乱文最後までお付き合いいただきありがとうございました。