しちさん21 (hatena)

アニメや特撮系を中心に、楽曲・映画・イベントなどの感想を書きます。

話数単位で選ぶ、2018年TVアニメ10選

 新米小僧の見習日記さんが企画元となり、毎年多くの方が参加していらっしゃる企画です。何年か前に見かけてからちょくちょくチェックさせていただいてたのですが、せっかくなので今年は自分でも投稿してみようかなと思います。
 選出ルールは以下の通りです。
ルール
・2018年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。

* * * * *

【選出話数】(放映時期別五十音順)
〇冬(1月~3月放送)
『三ツ星カラーズ』 第9話「ワンコインさっちゃん」
〇春(4月~6月放送)
『こみっくがーるず』 第4話「くんずほぐれつランデヴー」
『ヒナまつり』 第9話「人生はサバイバル」
『レイトン ミステリー探偵社 ~カトリーのナゾトキファイル~』 第2話「カトリーエイルと悪魔のドレス」
〇夏(7月~9月放送)
『音楽少女』 第3話「アイドル 心 共鳴」
『キラッとプリ☆チャン』 第24話「星の願いをかなえてみた!」
『ルパン三世 PART5』 第18話「不二子の置きみやげ」
〇秋(10月~12月放送)
『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』 第6話「君が選んだこの世界」
『ゾンビランドサガ』 第5話「君の心にナイスバードSAGA」
『となりの吸血鬼さん』 第7話「吸血鬼と過ごす夏休み」

選評は以下に続きます。タイトルリンクはdアニメストア配信ページとなります。

三ツ星カラーズ

第9話「ワンコインさっちゃん」
脚本:ヤスカワショウゴ/絵コンテ:澤井幸次/演出:板庇 迪
設定マネージャー:郡司一貴、常光将史
総作画監督山本亮友/総作画監督補佐:川畑えるきん、野口孝行
作画監督:那古谷和弥、津熊健徳、松井京介、石田啓一

colors9

「10年か……すぐ、なんだろうなあ。」

 1話当たり3パート構成の作品ですが、選んだ決め手はCパートのタイムカプセル回
 時間は誰にでも平等に流れるものですけど、「誰にとっても同等」なものではないんですよね。この回にはカラーズの3人、ののか、そしてオヤジと、3つの異なる世代のキャラクターが出てきます。タイムカプセルを開けるまでの10年という時間はきっとカラーズにとってはイメージもつかないようなずっと長い時間だけど、オヤジのような大人からすればあっという間にも感じられる時間。逆に、子供だったののかが高校生になり、そしてこれからの10年で大人になっていくように、「何かが変わる」には十分な時間です。
 何かが変われば、何かが終わる。10年後、カラーズがそのままでいるということはきっとないでしょう。未来に思いを馳せることで、そんな「子供時代の終わり」を感じさせるエピソード。けれど、だからこそ今あるこの日常が尊いのだということも感じられる素晴らしいエピソードだったと思います。

こみっくがーるず

第4話「くんずほぐれつランデヴー」
脚本:高橋ナツコ/絵コンテ:中西和也、徳本善信/演出:徳本善信/制作進行:坪内寿朗
作画監督野田康行

comiga4

「漫画……描いててよかった……」
「熱出て寝込んだ日も……実家のワンコ死んじゃった日も……」
「泣きながら……エッチな漫画を描いてて……!」

 こみがの魅力は何と言っても駆け出し漫画家4人(+α)の青春ストーリーであるところだと思います。アニメ終了後に原作も読んでみたのですが、寮の作りに代表されるようにそういった作風はアニメでさらに強く押し出されていたな、と。もちろんこれはメディアの違いによるものなのでどちらの方が良いという話ではなく。
 今回選んだ4話はまさに(ある種の)漫画家まんがならではのエピソードだったと思います。「爆乳♡姫子」としてTL(ティーンズラブ)漫画を描いている琉姫。本人は望んでいない才能だったかもしれないけど、その作品を喜んでくれる人がいる。そしてそれは、悩みながらも琉姫自身が努力を続けてきた証拠でもあると思います。基本的にはギャグとして描かれがちなるっきーのエロマンガ話ですが、これもひとつの立派な仕事であるということをしっかり描いたエピソードでした。努力が報われる姿というのはいつ見てもいいものですね……。
 映像的にも毎話見ごたえのあるこみがですが、4話の「鏡の前でメイクに悩む琉姫」の長芝居はシリーズ中でもトップクラスに素晴らしいカットだったんじゃないかと思います。まさに必見。

ヒナまつり

第9話「人生はサバイバル」
脚本:大知慶一郎/絵コンテ:及川 啓/演出:佐々木達也/制作進行:花岡佑大、安井雄一郎
総作画監督:神本兼利
作画監督:謝 宛倩、張 紹偉、服部憲知、武田芽衣、日高真由美、重本和佳子、村上直樹
作画監督補佐:辻上彩華

hina9

「ただい……」
「まっ!?」
「俺!?!?」
「死んでるーーーーーーーーーーーーーーーーぅ!?!?!?」

 春の傑作コメディアニメヒナまつり全話アホみたいに面白いのでどこを選んだものかな……と考えていたのですが、適当に再生したこの回が(めちゃめちゃ面白いのは当然として)収録話数3本のバランスがかなりよかったため選出いたしました。
 Aパートはマオの登場回。無人島に到着してうんヶ月、アニメの尺にして5分強の間ひとりで"""会話を"""続ける狂気のエピソードですね。マオのCVは小澤亜李さんが担当されています。単純に好きな声優さんですし、同じ及川監督作品であるこの美術部には問題がある!では主演を務められていましたので、そうしたつながりも感じられるのが嬉しいところです。
 Bパートはヤクザ回。組長の跡取りの座をめぐり、勘違いと気まずい空気に溢れた仁義なき戦いが繰り広げられる爆笑エピソードです。サブのクズっぷりもよく出ていますが、でも正直気持ちはよくわかるというか、人命がかかってる点を除けば方向性は人間味のあるクズっぷりですよね。良心の呵責があるだけなんだかんだいい人なんだと思います(笑)。
 それを受けてCパートは、新田の出世を祝うヒナの回。ヒナと新田の疑似親子関係もこの作品の一つの見どころだと思う……というか、単純にヒナめちゃくちゃカワイイと思うんですよね。親の立場としてみたらすごく手のかかる子だとは思いますが、こうしてズレてはいるけど祝ってくれたりしますし。切れ味鋭いギャグで笑いながらも、こういったところで微笑ましさが感じられるエピソードなのがすごく好みでした。

レイトン ミステリー探偵社 ~カトリーのナゾトキファイル~』

第2話「カトリーエイルと悪魔のドレス」
脚本:小峯裕之/絵コンテ:井出安軌/演出:牧野友映/制作進行:盛岡魁人
総作画監督:三島千枝
作画監督:市橋雄一、大竹晃裕、斉藤 亮、佐藤 桂、重國浩子

layton2

「例えるならこのナゾは英国を代表するお菓子、ファッジのようなもの。甘く濃厚だけど口に入れたら溶けてしまう、そんな儚いナゾ……」
「余計にわからん!」

 朝アニメ30分の枠組みに見事収められた良質ミステリ。Aパートでナゾとヒント出題、Bパートで解答編というのが本作の基本フォーマットですが、この第2話の「小さな違和感」の撒き方と回収の仕方は実に見事。初見時は思わずそのまま2周目に突入するほどでした。ゲストキャラクターのドラマも出来が良く、劇伴や美術の盛り上げ方も上手で涙を誘うエピソードです。
 3クールに渡ってアニメレイトンを観てきた今改めて振り返ると、コミカルというか良くも悪くも大味なところも多いシリーズにおいては「異色回」とも言えるんじゃないかと思いますが、そんなエピソードを第2話と早めに配置するシリーズ構成にも上手さを感じてセレクトさせていただきました。

『音楽少女』

第3話「アイドル 心 共鳴」
脚本:山田靖智/絵コンテ:高本宣弘/演出:久保太郎/制作進行:島崎直也
総作画監督野口孝行
作画監督:中島美子、粟井重紀、安達祐輔、臼井篤史

ongakushoujo3

「昔、父と母が言ってました。世界は音楽で溢れてるって!」

 夏クール、いろんな意味でインパクトを残した音楽少女。元々別路線で続いていた企画を無理やりリブートしたとも捉えられる製作経緯が批判されたり、トンチキアニメのような文脈で語られたりしがちではありますが、特に序盤のエピソードの出来の良さは胸を張って良いアニメだと言えるレベルだと思います。その分終盤に進むにつれ粗が感じられたのが個人的には残念なところではありますが、そんな作品も評価できるのが話数単位のいいところですね。
 今回選んだ第3話は曲作りにまつわるエピソード。「ギフテッド」と呼ばれる天才少女であり、音楽以外はノイズだと常にヘッドフォンをして心を閉ざし気味な雪野日陽と、音楽少女の作曲担当である熊谷絵里をフィーチャーした回になります。「完璧な音楽」を求めていた日陽が世界に溢れる音に耳を向けたことで出てきた衝動的な鼻歌。それは完璧なものではなかったかもしれないけれど、曲作りに悩んでいた絵里にとっての求めていたピースになり、彼女たち2人が中心となって『お願いマーガレット』(曲名)という素敵な音楽を作り上げる……いくつものピースが集まってアイドルが完成するという本作のテーマが実によく出た回でした。特殊EDへの入り方も絶品。
 新人マネージャーとしてメンバーと交流を始めたばかりの山田木はなこがまっすぐな姿勢で彼女たちに影響を与える様も微笑ましく、まさにピースをはめる主人公らしい役割を果たしていたと思います。

キラッとプリ☆チャン

第24話「星の願いをかなえてみた!」
脚本:兵頭一歩/絵コンテ:博史池畠/演出:髙田昌豊
制作進行:小澤真帆、Gu Bo Ram、Kim Min Gyeong、Jung Eui Hyop、Oh Jun Taek、Lee Jung Ah
作画監修:斉藤里枝、川島 尚
作画監督:Song Seung Taik、Song Hyun Ju、Han Seung Jin、Jung Ji Moon

prichan24

「落ちない流れ星、輝き続けるほうき星。ずっと変わることのない僕たちの絆といっしょだ!」

 メインキャラクター6人のうち、一歩遅れて登場する形となった「紫藤める」の掘り下げ回であり、彼女が所属するユニットである「メルティックスター」の再結成回。めるの「破天荒ながら善意100%」みたいなキャラクターもここで見事に立ったと思っていますし、「落ちない流れ星」をキーワードとした再結成エピソード自体もロマンチックで素晴らしいシナリオだったと思います。
 そして何より大切なのは、「とにかく映像が楽しい」ということ。コメディとシリアスのバランスがいいというのか、前半でひたすら笑っているからこそ、感動シーンがスッと心に染みるんだと思うんですよね。さらに言うなら体育祭のような「イベント事」の雰囲気を演出できている作品は見ていて気持ちがいいです。得点係がだんだん仲良くなっているみたいな本筋一切関係ないところにストーリーが感じられるのも好きですし、この回は本当に好きな要素の塊みたいな回。初披露となった劇中歌『COMETIC SILHOUETTE』も名曲です。
脚本:綾奈ゆにこ/絵コンテ:佐野隆史/演出:斉藤啓也/制作進行:山下伸久
作画監督:野口寛明、高田洋一

lupin518

「つまらん」
「~~~っ!詰まってんだよ!今まさに!」

 言わずと知れた国民的アニメの新作テレビシリーズ。4つの中編エピソードにバラエティ豊かな1話完結エピソードを交えて放送するシリーズ構成で、全体を通してよかったエピソードを聞かれれば何といっても雑破業先生が担当されたアルベール編(第7話~第10話)なのですが、4話続きということもあって1話だけというのは選びにくい。というわけで、今回は1話完結回の方から綾奈ゆにこ女史の担当回をセレクトしました。
 1話完結回は様々なジャンルで活躍するゲストライター陣が主に執筆し、これまた様々なジャンルのエピソードがあるのですが、この18話は『PART5』におけるアジトを舞台としたシチュエーションコメディ。「トイレが壊れた」という普段からすればバカバカしいような出来事を起点に、ルパンたちの日常風景を面白おかしく描いたエピソードです。いやー五右衛門のかわいいことかわいいこと。会話のテンポも良く、いい意味でコントを見ているような素敵な話でした。

青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』

脚本:横谷昌宏/絵コンテ・演出:いわたかずや/制作進行:上内健太、谷脇凱登
総作画監督:髙田 晃/作画監督:野々下いおり、三橋桜子

butayarou6

「先輩のバカ、バカっ!嫌い、大嫌い」
「……でも、でも……好き……」
「私は、先輩が好き……」
「大好きーーーーーーーーーーーっ!!!」

 二人目のヒロイン、古賀朋絵にまつわるエピソードの完結編。4話からのひと続きのエピソードなので話数単位というには若干不向きなのですが、それでも選んだ理由は古賀役・東山奈央さんの芝居の良さが大きいです。冒頭引用させていただいたセリフ、同じ1日を何度も何度も繰り返す中で抑え込もうとしていた気持ちがまさに「溢れ出す」ような叫びで、深く心に突き刺さりました。
 それにしても、何故人は叶わぬ恋心を抱える少女に魅かれてしまうのでしょうか。正ヒロイン……本作においては麻衣さんですね。彼女が嫌というわけでは全くなく、むしろ好きなのですが、だからこそちょっとのタイミングの違いでハードモードの恋愛になってしまう後出しヒロインの姿に胸打たれるのかもしれません。……などとキャラクターに対してド失礼な発言をしてしまいましたが!古賀はこのエピソードを通して人として成長する様が描かれていましたし、咲太にとっても大切な友人であることがこの後のエピソードからもしっかりと感じられます。本当に素敵なヒロインだったと思いますね。

ゾンビランドサガ』

脚本:ますもとたくや/絵コンテ・演出:佐藤 威/制作進行:靑木由芳
総作画監督:桑原幹根/作画監督佐々木貴宏、柳 隆太

saga5

「♪焼き鳥一番 鳥めし二番 三はサラダでよい健康~」
「♪いつもニコニコ 鳥で満腹!」

 2018年最後に話題をかっさらったゾンビランドサガ。各話の方向性も多彩で、7話8話9話あたりとも悩んだのですが、やはりコメディ作品が好きだというところで5話を選択。冒頭から実写加工映像非本職声優の長台詞とやりたい放題で大笑いしましたし、AパートとBパートでの天丼も上手くハマっていました。「コケコッコー」をオチに持ってくるのもきれいでしたね。
 また、本放送時はこのあたりからさくらとたえちゃん以外のメンバーの個性が見えてきたように思います。特に目立つのはリリィとサキの「ちんちく!」やりとりあたりですが、他にも衣装にこだわる純子や1人独特の世界を生きているゆうぎり姐さんなど。全視聴者を興奮させたと評判の(?)愛の舌打ちもこの回でしたね。全体的に巽へのいい意味での反抗心が蔓延してきたころだったと思います。


『となりの吸血鬼さん』

脚本:髙橋龍也/絵コンテ:室谷靖/演出:村田尚樹/制作進行:坂本光、國立拓満、服部正
作画監督:小島唯可、山村俊了、片岡英之、大髙雄太、山橋陽介、服部憲知、山本真嗣、粉川剛
作画監督補:小関雅

kyuketsukisan7

「一瞬で消えても、ずっと想い出に残るから……不毛じゃないよ。」

 定番日常アニメながら、人間と吸血鬼の異種族交流作品の面も兼ね備えた『となりの吸血鬼さん』。夏休みで丸一日いっしょに過ごすようになったことにより見えてきた生活サイクルの違いを取っ掛かりに、この手の作品の鉄板ネタである「寿命の違い」という部分もさりげなく意識させた回。Cパートのショートエピソードも爽やかに〆られていてお気に入りです。
 また、見返して思ったのはモチーフの使い方の巧みさというか、いくつかのテーマを「花」でつないでいるのがうまいなーと感じました。人と吸血鬼がいっしょに楽しめるレジャーである「花火」だったり、生活サイクルの違いを表す朝顔だったり、寿命をイメージさせる「枯れてしまう花」と「押花のしおり」だったりですね。Cパートも入口はひまわりですし。原作は未読のためどういう形で構成しているのかはわからないんですが、アニメ1エピソードとしての完成度が高い回だったなと思います。


* * * * *

【総括】
 以上、2018年のTVアニメ10選でした。おそらく視聴本数は少ない方だと思いますし、視聴ジャンルも偏っているので見ていない作品も多いのですが、ここに挙げたラインナップに関しては基本的にスッと浮かぶものばかりだったので、1年間印象に残り続けたエピソードとして自信を持ってオススメできます。基本的には1話完結作品から選出していますので、興味がありましたら気軽に見ていただきたいところです(特にレイトンは事前知識いらないので是非。ルパンも一般的なキャラ知識があればOK)。ブタ野郎(3話続きの完結編)とプリチャン(前後編の後編)は連作エピソードから一部抜粋する形になってしまいましたが、逆に言うとそれだけ良かった回なので、こちらもよろしければ。

 今回初めて執筆させていただきましたが、自分の好きな回を改めて語りなおすのも非常に楽しいものですね。来年も参加できるよう、楽しくアニメを見ていきたいと思います。