しちさん21 (hatena)

アニメや特撮系を中心に、楽曲・映画・イベントなどの感想を書きます。

アニメ『キラッとプリ☆チャン』シーズン1総括感想

 いつもの3日坊主が発動してしまいまして、しばらく書いていたニチアサ感想がもう1ヶ月以上書けていません。4月以降はプリチャンだけでも継続的に感想を書けたらなあと思っているところです。
 さて、そんなプリチャンは今週でクライマックス。ということで、ここらで1年目の総括感想を書いておきたいと思います。最終回には一足早いですが、次回はシリーズ恒例のエピローグ回のようですし、あと個人的な話ですが翌日に入社式を控えた状態でブログ書きたくないので……

 まずはプリティーシリーズにおけるプリチャン最大の特徴ですが、やはり「地に足のついた」と言われる現実路線の世界観にあると思います。それは魅力でもあり、同時に足枷でもあるという意味で。
 現実路線の魅力はなんといっても視聴者にとって身近な、等身大の感覚で楽しむことができるところ。連動してかはわかりませんがシリーズ構成的にも縦軸以上に各話のバラエティ性を強く打ち出しているように感じますし、日常のちょっとした出来事にフォーカスした話作りができているのはプリチャン独自の魅力ではないかなと思います。「素朴な」と言い換えることができるかもしれません。

 そういった良さが特に出ていたエピソードは29話(『キラキラ、さがしてみた!』)や32話(『気になるウワサ追ってみた!』)、36話(『100点めざしてみましたわ!』)、42話(『りんか?がりんかやってみた!?』)あたりでしょうか。これはシリーズ一新に伴うキャラ数のリセットも大きいと思いますが、メインキャラの中だけで話を回すのではなく、その家族などのサブキャラを交えることで複数の視点が盛り込めているのが魅力的だと思います。

 一方で、筐体連動もあってクールごとのクライマックスにやってくる大会展開との噛み合わせはイマイチ良くないな、というのは正直なところ。大会回で明確に良かったのだとメルティックの過去に寄せた27話(『笑顔で決めてみましたわ!』)くらいでしょうか。動画配信テーマとシリーズの持つアイドル要素のミスマッチも同種の課題点かなと思います。

 とはいえ、利点欠点を天秤にかけたうえで、個人的には魅力の方が大きいように思うので、この点はシーズン2でも徹底して欲しいところですね。

 では、ここからは各キャラごとにコメントしていく形で細かな感想を。

【ミラクル☆キラッツ】
 等身大で、「普通の女の子」な印象の強い主人公チーム。故にチームの関係性としてもあまりウェットにはなりすぎず、普通に学校の友達くらいの距離感なのが賛否分かれるポイントかと思いますが、個人的には先に述べたようなプリチャン特有の空気感を感じるのはいいところだと思います。

・桃山みらい
 「そうなんだ桃山」なる人気なんだか不名誉なんだかよくわからないあだ名でおなじみ我らが主人公。グイグイといくタイプではなく、ニュートラルな立ち位置にいるところがややドライな性格を強調させているように感じます。一方で、終盤に顕著でしたが、決めるときは決めるというか、なんだかんだでキラッツの決定権を握っている風でもありますね。
 それでも、嫌味な感じがあまりしないのは彼女のいいところ。ひかりやおしゃまに見せるお姉さんな一面といい、悪意はない「いい子」なんですよね。
 また、「他人のキラッとしたところを見つけるのが得意」という設定は動画配信要素を活かすキーになるのではないかと思っています。私自身は配信文化には疎いので実情に即しているかはわかりませんが、自身が輝くのみならず、「人の目に映りにくい魅力を見つけ、広く伝える」というのは配信ならではの魅力なんじゃないかなと。シーズン1だと19話(『海だ!ビーチだ!行ってみた!』)あたりに感じられた展開ですね。シーズン2でもそんなみらいが見られると嬉しいなと思います。

・萌黄えも
 キラッツの突撃担当、えもちゃん。彼女はみらいと打って変わってまさに直情型ですね。すぐに調子に乗るし、あんなと張り合っていろんなイベントに首を突っ込むんですが、土壇場になるとしょげてしまうクソザコメンタルが印象的。
 ですが、そんな風に思ったこと全部を表に出していくのが彼女の魅力だと思います。印象的なエピソードは7話(『ねこ動画を撮ってみた!』)。MIKEが飼い主の元へ戻って強がるも、次のカットでは大泣きしている……そんな風にあらゆる感情表現が全力なのがいいところだと思います。自他共に認めるおバカキャラですし、裏表は全くないですよね。
 ただ、話をかき回す上で便利だからか、はたまたスタッフ側に悪いオタクがいるのか(笑)、ちょっと中盤以降はトラブルメーキングに使われすぎだった気もします。36話でのあんなへのアドバイスや、6話(『エール、送ってみた!』)・7話のような素直に株の上がるエピソードをシーズン2にも期待したいですね。

・青葉りんか
 キラッツのメガネ担当、りんかちゃん。彼女はライター毎の差が顕著というか、さらと並んで福田回のバロメーターになっている気がします(笑)。その時は珍獣ハンターぶりを筆頭にキレのあるギャグを放り込んでくる印象が強いので、ある意味ではいちばんのコメディリリーフのようにも。
 マネージャー期間〜加入までの間に一通りドラマがあった反面、一緒になって話を回せるキャラがキラッツと家族以外にいないのが今のところのネック。これは監督インタビューでも言及されていましたが、みらいにとってのさら、えもにとってのあんなのような「チーム外での対応キャラ」を早めに打ち出してくれるといいなと思います。

【メルティックスター】
 キラッツに対するライバルチーム。ADからの伝統ですが、比較的天才型が置かれる主人公に対比して努力型の赤城あんなを軸に結成されていて、高いドラマ性を持っている印象です。平たく言ってしまえばとてもエモい。

・赤城あんな
 前述したように、メルティックスターの柱にしてプリチャンきっての努力型。最序盤はキラッツに突っかかってきて焚きつけるような軽い悪役(?)風な役割でしたが、その頃からキラッツのことを気にかけるような素振りが多く、嫌われすぎないような配慮がなされているように感じました。さらとのメルティック再始動後は、10話(『ライバルとデートしてみた!』)での「才能というものは後からついてくるものなのですわ!」発言を皮切りに一貫してプリチャンアイドルとしての誇りを持った高貴なキャラクターとして描かれていると思います。その一方でコメディパートも全力でこなす万能ぶりで、個人的にも大好きなキャラですね。
 彼女に限らずメルティックは一時退場フラグがありますが、完全退場ということは流石にありえないと思うので、シーズン2でも魅力を最大限に発揮してくれるといいなと思います。

・緑川さら
 プリチャンいちのイケメン女子、クールビューティ緑川さら。こうしたキャラクターはメインキャラの中だと一歩引いた立ち位置につきがちな印象で、実際にさらもメルティックの中ではサポート側のイメージがあります。メルティックの重要エピソードである9話(『ワタクシ、チャレンジしてみましたわ』)、24話(『星の願いかなえてみた!』)、27話と全て「信じて待つ」というスタイルを貫いている感じですね。それは決して影が薄いというわけではなくて、尽くすタイプだなあということで。
 一方でというか、そういうキャラクター性だからこそというか、当番回においてはさら自身の心情にフォーカスした話が他のキャラクターよりも多い印象があります。具体的には33話(『さらちゃんがモフモフしてみた!』)、40話(『さららの家に泊まってみた!』)の2本。これは前者がみらい、後者がめると、普段絡みの多いあんな以外との関係が描かれていて、結果的に関係描写の多いキャラになっているように思います。特にみらいとの関係については1年を通して定期的に描かれていたので、シーズン2での発展も楽しみにしたいところです。

・紫藤める
 メイン6人の中では唯一の途中参加組であるめるめるですが、存在自体は1話から仄めかされていた(ついでに言えばキャストも大方予想できていた)こともあり、すっかり劇中世界に馴染んだなと思います。ある程度の(ファンタジー的な意味ではなく漫画的表現としての)ぶっ飛び展開が許されてきた頃の登場というのもあってかキャラクターも強烈で、登場回から強いインパクトを残せたのが大きかったですね。24話は間違いなくシーズン1を通してのベストエピソードでした。
 ただ、そんな規格外のキャラゆえか単独でのメイン回はあまりなかった印象です。りんか同様にチームメンバー以外との絡みがあまりないこともあるので、シーズン2ではそのあたりを掘り下げて欲しいところ。40話で手探りながらもさららの看病をする姿は新鮮でしたが、ああいったシーンがもう少しあると人間味が増すんじゃないかなと思います。天才性とのバランスを上手く取りつつ、新たな面も見てみたいですね。

【アイランジュ】
 シーズン1におけるラスボスユニット。結成後、出番があったのは46話・47話・50話と短くユニット単位で語ることはあまりないのですが、両者ともに強者のオーラをしっかりと纏えていたのはいいところだと思います。
 また、ラスボス枠ということで、シーズン2での出番はどうなるのか気になるところ。来週(51話)の海外云々はメルティックとミスリードしてのアイランジュである可能性もあるかなと思っています。いずれにせよ、2年目も美味しいタイミングでの登場に期待したいところ。あと、リアルライブにも来てくれたら嬉しいなあ……

・白鳥アンジュ
 シーズン1クライマックスのキーパーソン。引退騒動にまつわる彼女自身の想いはアイランジュ結成の46話(『みんなの想いを届けてみた!』)で語られましたが、良くも悪くも「七星あいらになりたかった人」だなと思いました。プリチャンアイドルであることも、女子中学生を狙っているのも、そしてプリチャンを引退してデザイナーを目指すことも、すべてかつてのあいらが通った道です。それは必ずしも悪いことではないと思いますが、シリーズで言えばそれこそ「春音あいらに憧れて、春音あいらとは違ういちばんへたどり着いた上葉みあ」に代表されるように「自分なりの道を進むこと」を是としているように思います。これは個人的にも同意見。こういったところに言及があるかな、と思ったのですが、実際のところあいら以外には打ち明けなかった話でもあり、直接的な掘り下げはなかったのがちょっと惜しいところ。

 ですが、結果的にアンジュの引退を止めたのは「負けたことによる悔しさ」でした。これは彼女自身の中から湧き上がってきた想いであり、だからこそ「七星あいら」というある種の呪いから外れた道へ進む第一歩になるのではないかと思います。なのでこのまとめ方自体は上手いことやったなと思いますね。単純なキャラクター性で言えばトッププリチャンアイドルアンジュさん以上に神出鬼没の不審者キラキラのお姉さんの方が好きというのもありますが、最後の「ステキガールズに祝福あれ。世界が”私たち”を待っているわ!」も素敵でした。

・七星あいら
 前作『アイドルタイムプリパラ』の華園みあに続くスターシステムキャラクター。『プリティーリズム・オーロラドリーム』に登場した春音あいらと同じ名前・顔・声をしています。
 このスターシステムはおそらく数年内に迫ったプリティーシリーズアニバーサリーに向け、メインターゲット層にプリズムキャラを認知させる施策の一環なんだろうなと踏んでいるのですが、そうした意図があったとして、「当時の本人が時空を超えて登場」ではなく、「登場作品世界に合わせて原典からアレンジされた別人が登場」というスタイルを取っているのはとても好みの形式です。以前も話しましたが、比較的DMFファンへのサービスに寄せた華園みあというステップを経て七星あいらをプリチャン世界のメインキャラとして描くのは受け入れやすい流れでしたね。
 ただ、アイランジュ結成時の覚悟に比べると引退撤回をわりとあっさりと受け入れたなという気も。結果的に、アイランジュは本当に百合心中ユニットだったのか、アンジュに新たな可能性を示すためのユニットだったのかがイマイチ掴めなかったように思います。あとはシンプルな話、サムシングブルーコーデやDream Goes Onにも期待していたのでそこは若干肩透かしだったのは残念といえば残念。使うなら来週ワンチャン……あるかな?期待しすぎない程度に期待はしておきたいですね。

【おしゃまトリックス】
 準レギュラーキャラながら徐々に扱いが大きくなりつつあるおしゃま。結果的にイタズラ小悪党からツンデレ小学生へと変化しつつあるのは良し悪しな気もしますが、サーバルーム侵入時のプチ炎上を思えばだいぶ評判を戻したんじゃないかなと思います。
 これは初めに言った「視点」の話にもまつわることですが、メインキャラが次から次へとアイドルになってしまうとどうしても「内輪」の話になってしまう気がするんですよね。その点、今のおしゃまの「ライブはしない(=メインキャラではない)けどシナリオにはグイグイ絡んでくる」という立ち位置はシリーズの中でも新鮮で面白いポジションだなと思っています。ですので、よく言われる「CGつけてライブしてほしい」という意見には簡単には賛成できないかなと。キャストのお二方には若干申し訳ないですが(笑)。とはいえメタ的な話をすれば久保田芹澤若井さんたちに続いて茜屋さんもメインキャラとして出演が決定した今、澁谷さんと山北さんを中途半端なポジションにキープするのも難しいかなぁという気も。どうなるかはわかりませんが、例えばプリパラで言うなおのCGくらいの頻度に収めてスペシャル感を演出してくれるとちょうどいいんじゃないかなと思います。その辺りも含め、シーズン2での采配に注目したいですね。


 最後に、シーズン2に向けての期待を。
 キービジュアルや新キャラから受ける雰囲気としては、だいぶアイドルアイドルしたというか、言ってしまえば「プリパラ」寄りの作風に戻してくるのかな、という気もします。配信者要素を残したままライブ中心の違和感をうまく解消してくれるのがベストではありますが、このあたりについては見てから判断ですかね。
 新キャラとしてはバーチャルアイドルの「だいあ」に、ディアクラウン所属の「すず」「まりあ」が登場予定。だいあについてはこれまでのキャラとは一線を画す人物のようですが、現実路線のプリチャンでこうしたキャラがどのような扱いになるのか気になるところ。線引きとしては、異世界」と「人語を介すマスコット」が出なければシリーズ作品との差別化という意味での現実路線は保てるかなと思いますので、ここは継続してほしいラインです。
 すずとまりあについては、いかに早く作品世界内に馴染ませられるかというのが勝負だと思いますね。2期モノというのはどうしても新キャラと主人公のどちらに軸を置くのかというところが課題になりがちなので、メルティックが一時退場するとしたらそこを解決するためなのかなと思います。なるべく早いうちにミラクル☆スターの6人に彼女たちを含めた8人+αのメンバーがメインキャラだと感じられる日が来るといいなと思います。
 また、ディアクラウンということもあり、あいら同様のスターシステムでなる店長が出てくる可能性もわりと現実的なレベルであるかなと思います。プリチャン流にアレンジするなら……めるめるに近いタイプのぶっとび店長になるかな?とか想像したり。スッスッスの方に本家彩瀬さんの存在感もありますし、個人的にはRLに遠慮せずプリチャンチームで明確にキャラ立てしてくれることに期待したいですね。もちろんまだ出るかもわからない皮算用なんですが(笑)。
 池畠監督以下メインスタッフも続投の模様ですが、各話スタッフレベル……というか、具体的には脚本チームの変動については気になりますね。現在公開されている情報だと、52話(新シーズン1話)の脚本を担当されるのは初参加となる「涼村千夏」さんとのことです。調べるとかつてタツノコプロに在籍し、『SKET DANCE』や『波打際のむろみさん』、『タイムボカン 逆襲の三悪人』などの脚本を書かれた方のようですので、その人脈でしょうか?新シーズン初回の脚本をシリーズ構成以外の方が担当されるのは『アイドルタイムプリパラ』の加藤還一さん以来2度目となります。その加藤さんはアイドルタイムでは最多となる11本のシナリオを担当されましたが、涼村さんはどの程度担当されるのか、また他にも新規参入のライターさんはいらっしゃるのか。シーズン1のライター陣だと雑破さん、冨田さん、中村さんはシリーズ構成作も発表済みですが、続投していただけるのか。はじめ1クールくらいはどういったライターさんが参加されるのかとても気になるところです。とはいえ、プリチャンに関してはシリーズ構成である兵頭さんの担当回に非常に信頼がおけるので、兵頭さんの続投は心強いところです。新たな座組でも変わらぬ魅力と新たな魅力が出てくることに期待したいですね。

 長々語りましたが、兎にも角にもプリチャンについては発表時から一貫して「全く新しいシリーズへと舵を切ったこと」が素晴らしいと思っています。長く続いたプリパラからバトンを受け取り、プリチャンならではの魅力を確立しながら次なる「プリティーシリーズ」へとバトンをつないでくれることに期待したいと思っていますので、、、シーズン2も盛り上がりますように!