しちさん21 (hatena)

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【アニメ感想】『キラッとプリ☆チャン』第73話「さらちゃん悩む…スランプを乗り越えろ!だもん」【プリチャン感想】

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 2ndシーズン最初のさら回にして、6人目のジュエルアイドル回。例に漏れず新曲の披露や虹ノ咲さんとの交流もありましたが、全体的にはさら回担当・福田さんのパワフルな脚本に持っていかれた気もするエピソードでした(笑)。

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 複数のライターがローテーションでシナリオを担当することの多いキッズアニメにおいては、キャラクターごとに「担当」的な脚本家が生まれがち。プリチャンも同様ですが、中でも特に結びつきが強いのがさら×福田裕子さんだと思います。一人だけ弾き語りキャラを多用するなど序盤からやたらクセのあるキャラ付けをしていたのもありますし、さらメイン回である14話、33話、40話も全て担当しています。福田さんのシナリオは骨子の部分とは別の小ネタや会話からいわゆる「天然の狂気」みたいなものを感じさせることが多く、結果としてさら回=ヤバい回という印象が根付いているのがなんだかおもしろいなと。


 人気エピソードも多数生み出している反面、意識的に落ち着いた作風を目指しているであろうプリチャンにおいては前述したようなカオスさが賛否分かれがちでもある福田回。個人的には一人こうしてぶっ飛んだ回を出してくる人がいるくらいの方が各話のバラエティ性にバランスが取れていいんじゃないかなと思っていますが、たまにもう少しブレーキを利かせてほしいなと感じるときもあり、今回はちょっとそっち寄りだったかなという印象です。といってもシーン単位での話なんですが、「かわいい大行進」のくだりはちょっとモヤっとしたものを感じてしまいました。流石にトラブルの生み出し方が唐突すぎるというか、まりあの株を下げる形になってしまっているのはやや不満……と言いつつ、笑ったか笑ってないかで言えば大爆笑してたんですけどね。あんまりキッズアニメに倫理観を求める大人にもなりたくない気持ちもあるのでこの辺は複雑な部分でもあります(笑)。まあ、できれば最低限のTPOは守るようにしてくれたら嬉しいなということで。
 もちろんぶっ飛んだネタだけではなく、本筋の部分はしっかりと仕上げてくるのも福田さんの魅力です。今回のエピソードでは、33話に続いてさらの「かわいいもの好き」との向き合い方が描かれました。「かわいいものは好きだが、それはメルティックスターの緑川さらには似合わないからファンやメンバーに対しては隠し通す」という33話の結論はシリーズにおいても新鮮な考え方で、「プリチャンらしさ」を求める自分にとってはなかなか興味深い展開だったと記憶しています。今回もその方針は変わらず、「ありのままの自分を完全に打ち明ける」という話ではなかったのが嬉しいところ。
 とはいえ同じ話ではただの焼き直しになってしまうわけで、新たな展開としてみらいとさらだけが知っていたさらの秘密が虹ノ咲さんにも共有されることとなりました。めるめる、まりあ、すずとリングマリィにまつわる部分でのジュエルチャンスが続いたので、ジュエルアイドルと虹ノ咲さんの交流を押し出してきた回は久しぶりな気がします。メルティックと虹ノ咲さんはイマイチ交流が薄かったので、ここのつながりが描かれたのは良かったですね。
 虹ノ咲さんの言葉を受けて、「自分らしい色」にこだわりすぎていたさらもそれだけでない様々な魅力を出せるように。……というシナリオだけを見ると先述した「かわいいもの好きのカミングアウト」につながる流れなのかとも思いましたが、そう持っていかずともさらの変化を表現できていたのはひとえに初披露となったソロ楽曲『My Secret heArtbeats』によるところが大きかったのではないかと。曲調はクールにキメたロックながら、歌詞に目を向けると心に秘めた愛を打ち出したラブソングということがよくわかります。さらのある意味での二面性が両方とも感じられる1曲であり、今回のシナリオによる変化も確実に伝わってくる楽曲だと思いました。そんなさら曲、作詞・作曲を担当したのはさらを演じる役者さんでもあるi☆Ris若井友希さん(今回に限らずですが、名義は「友希」)でした。アニメでも43話でちらっと流れた筐体曲『チョコッティこちょハート』でも作曲を担当されていましたが、今回は満を持して初のアニメ曲を制作された形ですね。さら自身が楽曲制作を行うキャラクターなので、「中の人」である若井さんが作曲というのはそれ自体にストーリーを感じられて非常に良いと思います。いつかやってほしいなと思っていたことでもありますが、さら、ひいてはレオナも含めて若井さん自身シリーズ初となるソロ曲でというのがまた粋だなあと。フルも楽しみですし、上に挙げた2曲どちらもいい曲なので今後もちょくちょく提供曲を聴いてみたいなあと思える楽曲でした。

 福田さんに若井さんと、さらにまつわるクリエイター2人の存在が印象的だった73話。今更言うまでもなくずっと気にしている部分ではありますが、こういったところに注目して見るのも楽しいなと改めて感じる回でした。もちろん他にも多くの方のアイディアが入ってキャラクターや楽曲、シナリオといった作品が出来上がっていくんだと思いますので、知ったかぶって的外れなことは言わないよう気を付けたいですが……(笑)。