しちさん21 (hatena)

アニメや特撮系を中心に、楽曲・映画・イベントなどの感想を書きます。

【アニメ感想】『ワッチャプリマジ!』第9話 「心・覚醒!れもん降臨す!!」

YouTube見逃し配信】※2021年12月6日(月)12:00まで


ニコニコ動画


 漆黒の明星氏、ついに出陣。見た目にも中身にも大きな変化のあった、まさに「覚醒」のエピソードでした。

#9 『心・覚醒!れもん降臨す!!』

脚本:村山 功、絵コンテ:小松達彦、演出:伊藤 浩

 ひな先輩の猛特訓を見て、自分のプリマジへの姿勢に自信を無くしていたまつり。そんなまつりを後押しするべく立ち上がったれもんだったが、彼女自身もプリマジデビューを前に一歩踏み出すことができておらず……というのが今回のあらすじ。まつりもれもんも自信が持てていないのは同じですが、その悩みを乗り越えるために2人で力を合わせてはいないのがプリマジの面白さだなと思います。これがチームならば互いに声をかけて一緒に乗り越えましょうという直接的なサポートになると思うんですが、プリマジはあくまで各個人の物語なので「俺の生き様を見て感じ取れ!」という後押しの仕方になるんですね。こうした、チームを組まないからこその群像劇的な作劇はプリマジの魅力になりそうだなと感じました。今回について言えばまつりとれもんの2人の問題の重ね方も上手く、れもんを諭すようでいてその実自分にも言い訳をしているようなまつりの台詞がとても良かったですね。
 反面、惜しいなと感じたのは「れもんがまつりに大変恩義を感じている」ことの説得力にやや欠けるかな、というところ。仲が良いのは伝わってくるんですが、まつりは「同期として一緒に頑張ろうね!」と声をかけたくらいなのでれもんがそこまで強い恩義を感じるのが若干しっくりこないんですよね。なまじれもんにはオタク仲間がいるので初めての友達というわけでもないですし……これまでのエピソードでもっと直接的に「まつりがれもんの悩みを解決するため尽力する」みたいな回があったらもっと良かったかも、とは思いました。

 ともあれ、今回のエピソードの目玉は何をおいても漆黒の明星氏のプリマジデビューでしょう。なかでも個人的に注目したいのはビジュアルの変化。「自分のことが見えていない」と語ったれもんは、長く伸びた前髪を切り落とすことで覚悟を表し、(物理的に)視界を切り開きました。アニメ的に言ってしまえば、メカクレキャラからの脱却となったわけですね。そのことに賛否の声も聞こえてきましたが、それはいったん置いておくとして……いわゆる変身後のビジュアルは最初から公開されていたにも関わらず、今回までに断髪展開を予想できなかったのが上手いやり方だったなあと感じています。「変身後はゴシック系美少女、変身前はメカクレオタク女子」というイメージが定着してきたところだったので、断髪によって第3の形態が出てくることが想定外だったんですよね。人によっては想定していた展開だったのかもしれませんが、個人的には清々しいほどの"してやられた感"がありました。
 もちろん、そこからのさらなる変身、コーデチェンジ後の姿も魅力的です。Twitterでいろんな人の感想を見ていて気付いたのですが、アイメイクが特に良い!素顔のれもんはたれ目気味ですが、濃いアイシャドウを使ってツリ目に見えるメイクをしているんですね。緊張しいのオタクだけど、ステージに立つときは覚悟を決めて強い気持ちを持っている……ということがビジュアルからも感じられます。メイクの知識はほとんどないのですが、なるほどこういう効果が得られるんだなと参考になりました。魔法がウリの作品ではあるものの、個人的にはやっぱりこうした「実際にできる工夫」が描かれていると嬉しくなります。

 当然ながら、CGライブはれもんのデビューパフォーマンス。ゴシックといえばアイカツ!シリーズで伝統的に人気のある属性なので、プリティーで聴くのは新鮮だな~とばかり思っていましたが、改めて聴き返すと確かに歌詞を含めて「うっせぇわ」の影響もありそうですね(笑)。これまでの挿入歌とは一線を画した激しめの楽曲でした。作編曲の原田 篤さんは『プリパラ』以降プリティーシリーズ御用達となっているArte Refactの所属なので、まさに馴染みの味、という第一印象。プリマジでは意識的にEDMやK-POPの要素を強めて過去作と差別化しているのかと思っていましたが、単純に新しいコンポーザの参入によって新しい曲調が入ってきたということだったのかもしれませんね。振り返ってみれば、「マジ・ワッチャパレード」も同じくmichitomoさんプロデュースの「レディー・アクション!」etc.に近い印象でした。楽曲についてはあまりキャラソンに寄せすぎないのもプリマジの個性かなとは思っていますが、かといって偏るのもよろしくないので、そこは今後も上手く幅を付けていって欲しいところです。
 また、ステージシーンを語るうえでは声の芝居の良さも外せません。れもんはコーデアンドレスポンスの叫び声が力強く、聞いていて非常に気持ちがいいですね。「ゥワンピィ!」くらい溜めてるのがお気に入りです。普段の喋りと良い意味でギャップがあり、これもまた「覚悟を決めたオタク」というイメージにぴったりマッチしています。応じるきゃろんの「マナマナ・マジパ・チュッピ」も同様に、力強くて耳馴染みが良い。鈴木杏奈さん・吉河順央さんともにまだ声優としてのキャリアは浅いですが、ここまででも素晴らしい存在感を発揮していますので今後も期待が高まります!

 最後に、シリーズ小ネタ的な要素についても。ムーン地区のフレフェスにて使用されたのはプリティーリズム筐体曲の「StarLight★HeartBeat」でした。こんなふうに、知ってる曲がサプライズで流れてくるのはやはり嬉しいですね。ボーカルはこれまで音源になっているものとは異なる(ぬるぽん氏役の田中ちえ美さんに聴こえる気もする)ようですが、アレンジは『プリパラ』ゲームでのミーチル(みちる)カバー版のもの。今回の「無理無理無理……」もそうですが、みちるとれもんにはどこか通じるところもあるように思います。そんな先輩の存在を彷彿とさせる良い選曲でした。

 次回はれもん氏のデビューを祝って?の打ち上げオフ会。しれっとぬるぽん氏・たわし@自由人氏・嘆きのクリムゾン氏の3人組が同席しているのが嬉しいですね。流石にまつみゃむ含めてここまで仲良しグループみたいになるのは今の(序盤+れもん強化月間な)時期くらいだと思いますが、今後もちょいちょい出てくれると準レギュラー層が手厚くなりそうなので期待しています。
 ここまでは新キャラの登場や掘り下げ、ライブデビューが続いていますが、次回はそうしたトピックがあまり予想できないのでどんな話になるのか気になるところ。逆に言えば自由度が高そうな回でもあるので、そうしたときにプリマジがどんなお話をお出ししてくるのか楽しみにしていたいと思います。