大会を終え、1クール目のラストとなる13話。初めての「敗北」をきっかけに、まつりとみゃむのバディで挑むプリマジを改めて描いた渾身のエピソードだったのではないでしょうか。
#13 『ワッチャ・マジックワード』
脚本:坪田 文、絵コンテ:佐藤順一/小林浩輔、演出:なかの★陽前回までに強く描かれていたように、プリマジは大会での勝敗を強く意識させる作風。さらには個人戦が基本ということもあって、メインキャラクターたちは皆激しい競い合いの中に身を置いています。ですが、今回のエピソードではそんな競争社会の中であってもリスペクトと思いやりが確かに存在していることが感じられたのがとても良かったですね。敗者、勝者、敗者を励ましたいもの……それぞれの立場に対して、それぞれに向けた思いやりが溢れたお話になっていたと思います。
まずはプリマジスタ同士のやり取りから。大会翌日、まつりのもとを訪れたのはれもんとみるきでした。みるきに関しては本人の言う通りに煽り目的であってほしいですが(笑)、2人とも同じプリマジスタとして、まつりの気持ちに共感するところがあるのかなと思いますね。相変わらず会話は苦手だけどそれでも想いは伝えるれもん、落ち込むまつりを見て皮肉っぽく声をかけるみるきと、それぞれの個性が出た接し方が良かったです。
一方、ひな先輩のところへやってきたのはあまね様。まつりサイドももちろんなのですが、個人的にはひな先輩側の気持ちを描いてくれたのが嬉しかったですね。全力勝負の結果ではありますが、自分を慕ってくれている後輩に敗戦の悔しさを与えてしまったことは少なからず思うところがあったでしょう。実際まつりが落ち込んでいたように、この勝負の結果まつりはプリマジをやめてしまうかもしれない。それでなくても、落ち込むまつりに対して勝者である自分は声をかけることができない。そういった勝者ならではの怖さや葛藤は確実に存在するものだと思います。あまね様も「チャンピオンの方に寄り添う人はあまりいませんから」と言っていましたが、こういう風に「負ける悔しさ」だけでなく「勝者の孤独」にも目を向けるのはやはり勝ち負けに対して真摯であるが故なんでしょうね。こうした視点を持ってくれているのは今後も含めて期待が持てるところだと感じました。
まつりのことを想っているのはプリマジ仲間に限りません。橙真もまた、落ち込むまつりに対して声をかけられず悩んでいる1人でした。そんな橙真の背中を押したのは
そして、今回の主役・みゃむ。彼女もまたまつりに対してかける言葉に悩んだ結果、人間の言葉を話すことができなくなってしまいます。プリマジスタがプリマジスタの気持ちに寄り添えるなら、マナマナの気持ちに寄り添えるのはマナマナ。プリマジで活動するコンビとして考えた時、まつりの先輩がひな先輩ならみゃむにとっての先輩は……ということで、彼女に寄り添ったのはチムムさんでした。互いに口が悪くケンカしがちですが、なんだかんだで通じるところがあるように思える2人。きっと、チムムも今回のみゃむのように悩んだことがあるんでしょうね。素直じゃないながらもアドバイスを送る様はなんだか微笑ましく感じられました。
そんなチムムの励ましも受け、みゃむは改めてまつりと対面。出てきた言葉は「まつりとプリマジ楽しいよ」「いっしょにプリマジしよ!」というものでした。上手く言葉を紡ぐことはできないけど、それでも伝えたい想いはある。そういう感情がしっかりと伝わってくる小池理子さんのお芝居が相変わらず素敵ですね……。また、後者についてはメタ的に言えば1話のサブタイトルでもあり、かの4話でも使われた言い回し。4話の感想でも書いたのですが、やはり「いっしょに」が重要な作品なんだなということを改めて感じさせます。勝った喜びも、負けた悔しさも、全部全部2人で共有する。そういうことができる素敵なバディへと、また一歩関係性が進んだ回だったなと思います。
4話の時も似たようなことを言っていそうですが、改めて基本のまつみゃむバディ関係に立ち返ったエピソードで一つの「区切り」にふさわしいエピソードでした。とはいえ、プリマジは長期スパンのキッズアニメ。ありがたいことにまだまだ続きます。御芽河サイドには引き続ききな臭い動向&新キャラあり、そして魔法界サイドにも謎の人影ありと気になる要素も盛りだくさんでした。ですがこの辺りはもう少し先の話になりそうということで、次回からはまた違った新展開・合宿編。その一発目として、ついに明かされるあまね様のプリマジを楽しみに待機しています!