しちさん21 (hatena)

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【アニメ感想】『キラッとプリ☆チャン』第68話「さよなら、すず まりあ笑顔のお別れ!だもん!」【プリチャン感想】

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 「リングマリィ」結成編・後編。ついに誕生したまりあ&すずのユニットによる新ライブ、さらには『ファントミラージュ』とのコラボ要素もあるなどギュウギュウに詰まったエピソードになりました。

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 今週の肝は何と言ってもまりあとすず、2人の善意のすれ違いを描いたAパート。すずが海外の事務所からダンサーとしてスカウトされたことをきっかけに、グループを組もうと張り切り続けていたまりあ先輩の気持ちには変化が生まれていました。かわいいすずちゃんだからこそ一緒にグループを結成したい、けれど、かわいいすずちゃんだからこそ彼女の憧れであるダンサーデビューは応援したい。そんな葛藤が良く描かれていたと思います。
 悩んだ末にまりあが出した結論は、すずを送り出すというもの。すずが気にしてしまうことがないように、キラッツたちと協力して別のグループを組んだことをでっちあげようと画策しました。若干本筋とは外れますが、こうして生まれた「プリリン川ピョン子」ちゃんはえもちゃんの体当たりな魅力があらわれていてかなり好き。福田さんの脚本らしい楽しいシーンに仕上がっていたと思います。度々言っていることではありますが、脚本ローテの中で一人ぶっ飛んだギャグを放り込んでくる人がいるというのはちょうどいいバランスだなあと。
 ですが、プリチャンきっての常識人・すずちゃんには変装も当然お見通し。その裏に隠された(?)まりあの想いもすぐに見抜かれてしまいます。その上で、その想いを汲み取ろうと敢えてツッコミは入れないすずの心遣いはすばらしい描写。互いが互いを思い合っているからこそのすれ違いに切ない気持ちになってしまいました。

 それぞれが考えた末の結論ながら、どこかモヤモヤしたものを抱えていたのもまた事実であろう2人の関係。そこに切り込んでいったのはキラッツであり、メルティックであり、虹ノ咲さんであり、幸瀬店長であり……2人に関わってきた多くの人物がグループ結成に向けて尽力していました。物語的に言えば、これだけ多くの友人から気にかけられる2人の人望の厚さを改めて確認できる展開であり、作品的な見方をするならば多くのキャラクターをバランスよく動かす手腕の見事さに感心する展開。特に、ここ数週ご無沙汰気味だったメルティックがシナリオに絡んできたのは嬉しかったです。こちらも福田回特有の謎弾き語りのインパクトは相変わらず強かったですが(笑)。

 アメリカ行き関連の話などは今回出てきたので、前後編のようでいて独立してでも楽しめそうなエピソードでしたが、そんな中でキーアイテムとして2話通して使われていたのが「ウサギ」でした。すずがグループ結成に戸惑っていた要因であるかわいいウサギさんコーデですが、まりあはただ「かわいい」だけで提案していたわけではなく、「ウサギのようにすずとともにジャンプしたい」という思いを含めての考案でした。それを直接口にこそしなかったものの、カフェのノートにさりげなくこぼしていたコメントをきっかけに話を進めていく……こういう小道具の使い方はとても好きですね。気づくきっかけが「さらがうさカフェの常連になっている」というところからつながるのも非常に自然かつキャラクターの掘り下げにもなっていて良かったと思います。

 そんなまりあの真意を知ったみらいは、デザインパレットを使って「カッコいい」と「かわいい」を兼ね備えた新たなウサギさんコーデをデザイン。重要回でこういった販促要素を上手く使えているのは好感度高いですね。
 この「カッコいいかわいい問題」は前回、というより彼女たちの登場以来の問題ではあるのですが、今回はまりあとすずだけであればきっとその問題とは少し離れたところでつながり合ったのではないかと思います……ちょっと我ながら表現が下手なので説明しますが、本人が言っていたようにまりあの「グループを組みたい」という思いは彼女のわがままですし、そのわがままを受け入れるほどまりあが好きで良い子なのがすずちゃんです。だからこそ、きっとすずは「かわいい」衣装であっても受け入れて、敢えて悪く言えば妥協してグループを組んでいたんじゃないかな、という気がします。ですが、そんな2人を外から見続け、そして「違った味が合わさることでさらにおいしくなる」ということを考えていたみらいたちがいたからこそ、ウサギさんコーデやリングマリィというユニット自体が2人の個性を活かしたものになれたのではないでしょうか。
 そんなふうに文脈を載せたリングマリィの「ウサギ」。せっかくなので、メルティックの「流星」のように今後もリングマリィを示すキーアイテムとして使っていってほしいですね。

 ライブはもちろん新曲、『インディビジュアル・ジュエル』。まりあ先輩のボーカルにすずちゃんがラップで応戦する、これぞデュオソングといった印象的な楽曲でした。やってみたはすずのスウィングスケートスパイラループのデュオ版で、リードするすずちゃんのカッコよさもさることながらまりあ先輩のかわいいコーデとスケボーやってみたのギャップ萌えが凄い!大変好みのツボに入ってしまいましたね……。かわいい。

 その昔、「全然違う私たちだからこそ……」と言っていた人がいたように、対極の個性を持つユニットというのはひとつの王道。これからのリングマリィも、そういった数々のユニットに負けない魅力を見せてくれそうだと思える素敵な結成エピソードでした。